モンゴルの風に吹かれて-4 「NPO法人アジアンロード」

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更新日 2010-08-02 | 作成日 2008-05-03

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モンゴルの草原の風に吹かれて④ テンゲルは、なぜ「みんな元気か」と言ってくれなかったのか?

NPO法人アジアンロード理事長
宮秋道男

 日本にも多くのモンゴル人が住んでいることをご存知だろうか。朝青龍も、白鵬もいるからね。いやいや、朝青龍も白鵬は、モンゴル国のほうだ。私がいうのは、中国からきているモンゴル人のことだ。その数、4千人とも5千人ともいわれる。彼らは、自分たちのことを中国人ともモンゴル族(の中国人)とも言わず、モンゴル人という。

 そのモンゴル人のかなりの部分が、今年の夏、東京に集まった。中国の人気歌手であり、モンゴル人の「英雄的な歌手」でもあるテンゲルの初来日コンサートが、東京・池袋で行われたのだ。
 アジアンロードも、微力ながら、そのコンサートへの呼びかけを手伝い、チケットを扱った。当日を迎えて驚いた。千人は入る客席がほぼ満席。しかも、ほとんどがモンゴル人だった。

 どうやら日本の各地からモンゴル人が集まったようだ。夜行バスで九州からも、北海道からも来ていると私の友人がいっていた。会場受けつけ近くは、さながら同窓会会場のよう。あちこちで話のウズがあった。
 そして、いよいよテンゲルが登場し、コンサートは始まった。モンゴル語と中国語(漢語)で話し始める。中国語のほうが多い。間髪いれずにヤジが飛んだ。「モンゴル語で話せ! モンゴル語で歌え!」と。そこからは中国語は話されずに、モンゴル語でコンサートは続いた。

 そして、大いに盛り上がり、最後はクライマックスを迎え、ほとんどの者が立ちあがって、代表的な歌「モンゴル人」が歌われた。主催者側の打ち上げに誘われたが、それには参加せずに、私たちだけで打ち上げ。
 さぞや満足しただろうと思って、あるモンゴル人に聞いたら、そうでもないという。なぜなら、テンゲルがまず「みんな元気か?」とモンゴル語と日本語で私たちに言ってくれなかったことに、すごく怒っていた。テンゲルは、日本にいる私たちのこと(=苦労)がわかっていない!と。

 モンゴル人は、まじめな人びとが多く、苦労は人一倍しているようだ。昼は学校に行き、夜はバイトして、それでもお金がなくて、寝るところは公園だというモンゴル人がいるとも聞いた。もともと遊牧民だから、それができるのだよね、と冗談で話す分ならいいが、それが真実で、本人の立場に思いを寄せるならば、とても笑えない。

 日本に来る時すでに、百万円以上の借金をかかえて、成田空港に降り立つ彼ら・彼女たち。就労目的で来たんだとも非難されるが、まずは借金返済で働かないといけない現実を知らない論だ。
 「日本に来て日本の友だちができたか」と留学生に聞いても、多くは「日本人学生とは友だちになれない」という。絶対的な時間がない(私費留学生の多くが、学校の授業時間以外は、アルバイトに出ている)こともあるが、流行や遊びだけに関心があり、社会的な出来事には、あまり関心を示さない若者の幼稚さについていけないともいう。

 反日デモが数年前に中国であったが、その時に、中国人留学生に聞いたことがある。彼女の見方は「大陸にいる人は、日本のこと、日本人のことがわかっていない!」と。フムフムと、続きを聞くと、「日本人が全員コイズミさんのように思っているけど、こっちの日本人、学生はそんな難しいことなんて考えてなんかいないよ」と切り捨てたのである。これには愕然としたものである。
 そんな日本での彼ら、彼女たちの姿と、草原での彼らとかの徐たちの姿がどのように結びつくのか、疑問が膨らんでくる。

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